七仏通戒の偈


お釈迦様以前にも六人の仏様が居まして、お釈迦様を含めて過去七仏

と呼ばれています。

この七人の仏様が揃ってこれが仏教ですと太鼓判を押したという

七仏通戒の偈があります。

「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」という短い偈です。

意味は「悪を為さず、善を為し、みずからその心を清めてください。

これが仏の教えです。」

と普通には解釈されていると思いますが、曹洞宗を開いた道元禅師は

そんな意味ではありませんときっぱり言われています。

諸悪莫作の作とは作為、人為、手をつけるということです。

本来のありのままの姿、おのずからなるものに手をつけること

を悪といい、おのずからなるものをそのまま手をつけずに行って

いくことを善といい、「自ら」その意を清める、ではなく

その意、ひとの心は「おのずから」、もともと清浄なもの

浄、不浄を越えたもの、これが仏の教えですといわれています。

おのずからなるものに手をつけず、信頼し、任せ、委ねきって

下さいとも言い換えられると思います。

「おのずからなるもの」とは"今ここ"の様子、こころの中、

外の様々な動き、様子のことです。

何か見えたり、聞こえたりと今起きていること、

出来事は自分の意図、力以前のものです。

「おのずからなるもの」とは人為的なものではない

今の様子のことです。手をつけるとは、もともと手をつけられない

今の様子に良い悪い、きれい汚い、完全不完全など様々な見方を

することをいいます。

手をつければつけるほど、苦しみ、問題は大きくなり、

手放せば手放すほどそれらは小さくなり、おのずからなる流れ、

その人本来のよき流れが生まれてくるのは確かな

ことだと思います。