私の師匠を乗せて運転している時、師匠から「どうして信号が青になったら進むかわかりますか?」
と聞かれたことがあります。そうゆうルール、法律だからという答えではないのは分かりましたが、
質問自体もよくわからずしばらくわかりませんでした。今はわかるようになりました。
例えば誰かに名前を呼ばれたら「はい」と自然に返事をし振り向きます。
青になったら進む、赤になったら止まると意識しなくても自然に運転はできます。
むしろ意識しないほうがスムーズに運転できます。
小さい子が川で溺れているのを見つけたらみんな即反応し助けに向かいます。
大海にでた鮭は教えられなくても生まれた川に帰ってきます。
「花無心にして蝶を招き、蝶無心にして花を尋ぬ・・」と良寛さんの詩にありますように、
無心のうちに知らず知らずのうちにそれぞれがそれぞれの活動が全うしています。
当たり前と思い、意識せず、気にも留めない部分かと思いますが、
人の日々の活動は人為以前に大きな力が働いていて、常に支えられています。
仏教の言葉で「暗機」といいます。目に見えない部分の働きということです。
そこに気づいていますか?という師匠の質問でした。
今ここに働いている力、支えてくれている力を感じ、さらにその力の大きさ・精妙さを感じ、
その力への信頼を深めていくということは、怖れや不安を減らし無くしていきます。
そして自分自身やこの世界に対する信頼を深めていくことは、
豊かさや平安をより感じて生きることにも繋がります。
そして人為以前に働いている大きな力こそ、自分の本体、自分自身そのものであると
気づくことにも繋がります。